乳腺症

乳腺症は授乳経験のない30~40歳代の方に多く見られます。乳腺症とはホルモンの影響によって起こる嚢胞や線症と呼ばれる組織の変化の総称で、原則的には病的状態ではありません。

ですから、基本的には治療は必要ありません。ですが、乳腺症だと断定するのが難しい症状でもあります。乳腺症の症状としては、たいてい両方の乳房にしこりができます。

しかし、本人は片側のしこりにしか気付かないこともよくあります。しこりの大きさは大小さまざまで、デコボコした感じがして範囲も人それぞれです。

乳房の表面には赤くなったり、へこんだりする変化は見られません。乳腺症は月経との関連性が強くて、月経1週間前からしこりが硬くなり、張りを感じたり中には痛みを感じる方もいるようです。押さえると特に痛いようです。

しかし、月経が始まると張りや痛みは治まっていきます。ですから正常なホルモンの作用と見分けにくいという特徴を持ちます。

他にも乳頭から分泌物がでる方もいます。色は赤、透明、乳汁様とさまざまです。さらに乳管が詰まって嚢胞を形成する場合も見られます。

乳腺症はマンモグラフィでは診断がつきにくく、超音波のほうが有効です。ですが、硬化性腺症はしこりのように固まるのでがんと紛らわしいことがあります。

このように乳腺症の困ったところは乳がんの発見がしにくいことにあります。乳腺症の症状が強く出る方は特に気を付けて欲しいのですが、月経前の診察は控えて、月経後に診察を受けたほうが良いでしょう。